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石原都知事のセクシャル・マイノリティ発言への問答。 [研究・解明]

石原都知事の同性愛者への差別発言への抗議とその返答(レイバーネットML)です。
とても蘊蓄ある内容で私としましても、新発見でした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101207-00000045-maip-soci

石原都知事 同性愛者「やっぱり足りない感じ」


東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。

これに関して、MLで抗議文を書きました所、同じくレイバーネット会員の斉藤洋太郎さんから、お返事を頂きました。
以下転載します。
________________________________________

足りないのは、石原君の知識です。勉強していないから。ただその地位にあるので
はだめで、何かをするために無知蒙昧だから、エリートは人を傷つけるのです。
(丸山真男の日本の思想の通り、である、では足りず、する、という事が必要)
免疫学と神経細胞などについて、遺伝決定説でなく、偶然が複雑系を展開する、
という多田富雄の『生命の意味論』には面白い指摘があります。
新潮誌に連載されたもので、文学者だったらこれくらい勉強すべき。

・同性愛の成立の要因として、従来はフロイト的解釈に基づく、幼児体験や生活環境
を重視してきたが、どうやらそれは、もっと生物学的、解剖学的なものに規定されて
いるものらしい。
そうだとすれは、同性愛を異常性欲として差別したり、道徳的に非難したりするのは全く根拠のないことである。
同性愛はまさしく、人間の生の生物学的多型性のなかでのひとつの形なのである。

・女と、その加工品である男だけという単純化された二つの性と、それによって営ま
れる生殖行動しか存在しないよりも、さまざまな間性と間性的行動を持った人間の方
が、生物学的にも文化的にもより豊かな種のように思われる。

 多田さんの本は、最新の科学が凝縮されているので、一見とっつきにくいですが、
根本的にものを考えるには最適です。性差というのも相対的で、宣長に言わせれば
「大和心」は、めめしくはかない。
_______________________________________


>同性愛の成立の要因として、従来はフロイト的解釈に基づく、幼児体験や生活環境
>を重視してきたが、どうやらそれは、もっと生物学的、解剖学的なものに規定されて
>いるものらしい。そうだとすれは、同性愛を異常性欲として差別したり、道徳的に非
>難したりするのは全く根拠のないことである。同性愛はまさしく、人間の生の生物学
>的多型性のなかでのひとつの形なのである。

素晴らしい回答ですね。
同性愛やトランスジェンダーは環境や幼児体験からの<変質>によってその性嗜好が変わるのだ、と勝手に思い込んでいました。(私もまた同性愛者について、歪んだ生、変質した愛だと、偏見を持っていた訳です)

しかし、同性愛は人間の生の生物学的多様性の中でのひとつの形_
異性愛、同性愛は区別差別される物ではなく、元々人間に含まれる愛の形の多様系であるとの事。人知れず悩んでいるセクシャル・マイノリティの方に教えて上げたい。

およそ差別や偏見は<無知><傲慢><優位性意識>の中で産まれる。
東京都知事はその固まりって事で、こういう論議を引き出して頂いて誠に結構な得難い都知事であらせられます。




P5140654.jpg




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コメント 4

風船かずら

生物学的多形性、間性勉強になります。
by 風船かずら (2010-12-11 15:30) 

kitazawa

間性、intersexの事ですね。私は人類が進化の過程を進めて行くこと、intersexの形になるような気がします。生殖はどうなるか、それはおいておいて、intersexが増えると性差別からくる犯罪がずっと少なくなって住み良い社会が来るような気がします。
この差別発言はそんなジェンダーフリーの属性に大して全く無神経だなと思います、政治も世界も愛の形も右も左でもない、interが人類の福音だと思いますがどうでしょか・・・
by kitazawa (2010-12-12 13:06) 

bfield

フロイトのような古典的な心理学が登場したのにはびっくりしました。
ぼく自身は同性愛というのは生物学的に病気の一種だと考えています。もちろん、それと差別は別の問題です。
しかし、生物進化の過程の多様性であると考えるならば、
それはそれで考える余地はあるかもしれませんね。
一方では、生物の多様性を語るにはあまりにも短期間過ぎるとも思っています。

by bfield (2010-12-19 22:46) 

kitazawa

bfieldさん!こんばんわ。辛口のコメントだ!はいはい、フロイト解釈から、同性愛や性倒錯の認識が広がったというのは確かですね。
それまでカテゴリー分けや分析も出来なかった訳で、この性嗜好を公式に情報化したという事では、フロイトは偉大な人だと思いますが、
その解釈は現代の多様な性嗜好やタブーが無くなった事などを考慮すると、ちょっと懐疑的になっても良いかも知れませんね。
多様性の事。
むう、マイノリティの性を生物多様性で解釈するという事について、飛びつくのは短慮かも知れませんが・・・
私は斉藤さんの見解にある喜びを感じました。
何故なら、特殊でも変質でも無く、多様の一部の形というフラットでマクロ的な認識。
これぞ、人類愛として、異性愛同性愛を受け入れて差別の無い社会が広がると良いと思ったからです。(長い!)

by kitazawa (2010-12-28 00:30) 

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