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不毛地帯 第四話 「俺が殺した」感想 [ドラマレビュー]

不毛地帯 第四話 俺が殺した 感想です。
不毛地帯第一話感想で検索したら、何故かうちのブログがTOPに上がってました。
ロクな事を書いてないのに?(;^_^A

で、この四話は2クールあるという長丁場の中で、最初のヤマ場というか、クライマックス回であります。

この回のエピソードがこの「不毛地帯」のテーマの根幹であると思います。
防衛庁から、機密文書を漏洩させた張本人として壱岐は事情聴取を受ける所から始まります。

空幕防衛部長からのグラント社の航空機性能のコピペ流失がバレる。
コピーの数字から簡単に持ち主バレるのですから、とんでも抜け作です。('・ω・`)
しかも、川又さんが書類に書き込みを残した物だから、もう万事休すです。

しかも、コピーの持ち主、川又空将はその事に関与はしていない。
川又の部下が、壱岐と通じて、機密を持ち出すのです。
川又の部下は、米びつに、スパイの報酬として貰った近畿商事の株、一万枚を隠します。
前回のこのシーンで、米びつを持ち出して逃げるんですが、当時、米びつ、とか米とかにどんな思い入れがあったか、そういう状況設定があまりいい旨味になっていなかったと思います。

起こっている事柄

防衛庁が購入する次期戦闘機の商戦

近畿商事 壱岐 ラッキード社
東京商事 鮫島 グラント社 

を推奨していてそのライバル社の推奨している戦闘機の情報を、壱岐は川又の部下に命じて盗み出させるのですが・・・
上に書いたように、部下の逮捕、書類出所がバレ、防衛庁の長官は川又が首謀者と疑い、左遷をさせて、機密漏洩の教唆と贈収賄の取り調べを行うと恫喝され、川又は壱岐の家で酒を呑んだ後、線路の上を歩く・・・
残されたのは花柳界出の奥さんだけ。
長官は葬式に顔を出し、壱岐に自殺では年金も降りない、事故死として、処理するように計らう事を約束します、今、防衛関係から自殺者が出るのはマズい・・・
防衛庁官は「遺書とか持ってないかね」と無情な事を言い、壱岐はキレます。
「お前は!」と掴み掛かりあわや修羅場。

奥さんとりなし、取りあえず、事は治まり、ラッキード社の戦闘機導入になって近畿商事は万々歳。

「川又すまない!」と壱岐は慟哭。
う、うーん、ドラマとして見ると正直壱岐って疫病神じゃね?という感想しか浮かばない。

川又の、警察予備軍から自衛隊になり、国民に理解される防衛機関として、強くしていきたい、という理想は解ります。
そして長官の自衛隊を私欲の為の道具にしか見ない腹黒政治家の存在も解ります。

けど、結局、川又さんが自殺しちゃったのは、壱岐の所為じゃないの?

商戦に巻き込まれた訳でしょう。
軍人の高い理想は商人の商戦にかき消されて、身動き出来ない証拠を残され(複写機、海に捨てなよ)軍人としてしか生きる道のなかった川又は線路の上を歩くしかなかった。

今回のテーマは商魂の恐ろしさじゃないかな、と思います。

その商戦(戦争ですね、近畿商事と東京商事の)に企業戦士として加わった壱岐。
理想や人間性よりも社益の為に人間を犠牲にして成長していく、商社達、その商戦の果ては不毛の大地・・・

作者が示したかった、当時の現代人への警鐘を今期に振替て新しい警鐘を作るという感じじゃないですし、どうも、“右より路線”の匂いがプンプンしてそれがどうも、“敏感”な人達に敬遠されてるんじゃないかな。
小説読んだ時、そういう右左の匂いよりも当時まだまだ沢山あった日本人の美徳とか良心とかそう言う物を全てなぎ倒して行った『総合商社』というバケモノを面白可笑しく書いて、日本人の姿を暴き出してるような、露悪的な作品だと思いました。
『露悪』というイメージですね、山崎豊子さんの作品は。


それに対して今期の「不毛地帯」はどうも、川又空将補の理想とかそれを前面に出すのは、“右より”の匂いを感じるんですよ。
それがはっきり解ったな。
このドラマの制作意図。

本当は、壱岐と近畿商事に上手い事嵌められたかも知れないのに、官僚の私欲に押しつぶされた理想高い軍人・川又の悲劇の死みたいになってる。
そーじゃなくてー
壱岐がやらかした機密防衛の流出の詰め腹を切らされた訳でしょ。
本人は無関係なのに。
でも本人は黙って死んで行く。

友情の為か、それとも、もっと大きな大義の(?)為なのか・・・(壱岐は川又にとって命の恩人なので、自分の潔白を公にする事が出来ないんです、そうすると壱岐が窮地に立たされる、いわば壱岐の罪を被って自殺したのです)

壱岐がズーズーしい、友人の死を踏み台にして商戦の勝利を手にした死の商人なのに、
何故か被害者面。
あんたに長官罵る事ができるのかな。
防衛機密を盗み出させた元々の責任はどうなの?
って突っ込む気力も出ない程、杜撰な台本だなぁ。

しっかし、なんかこう、ヘンテコなドラマっていう外観(ルックス)だなぁ。
小雪が出て来ると、別のドラマ見てるみたいだし、能楽師と全然釣り合わないあの変なシーン。
女優さんの統一感が無いと言うか。
バラバラな漁場というか、次のシーンを安心して見る事が少ないような。

他の人の意見を聞いてみましょう。

Eさん(衆議院の予想、大外れ)に聞いてみました。

私「Eさん、フジテレビ50周年記念ドラマ『不毛地帯』見てますか」
E「一話だけ見ました」
私「どう思いましたか?」
E「今時にしては珍しく、女子供に媚びない、男気あるドラマだと思いましたね、EDとか特に」
私「へーそれで、どうして続き見ないんですか?」
E「私はテレビ局の男気に興味が無いからです。」
私「・・・・」

こうして私とEさんの“不毛”な会話は終わった。

多分、フジテレビの男気が、世間的にスベってるってそういう事なんでしょうね。

今回の話は、盟友の死と引き換えにした商戦の勝利、という感じです。
それにしても、みんなやっぱり大根に見えるなぁ。

このドラマ、評判悪いのは、女子供に媚びない硬派のドラマだからじゃない、制作側が何かの意図で
原作には無い右寄り的な味付けのサブリミナルが嫌われてるんだと思います。

高度経済成長で潰された人間性の尊さ、商人の底知れぬ逞しさ、官僚の経済界との癒着の醜さ、
そういう見所が、まったく無いです。

なんか勘違いして作ってるなぁ・・・このドラマ。
これはブラック小説でしょ、なのに壱岐を美化しちゃあだめなんですよ。
国の為に、日本を強くする為に、ラッキード社の戦闘機を導入させるんだ!
みたいな壱岐の行動目的、モチベーションは見る方をシラッとさせるだけ。

壱岐は商社の利益の為に、防衛機密盗み出させて、バレたら部下に罪を拭わせて、川又が濡れ衣で更迭させられたのに、何もせずってどんだけ腹黒なんだよ。

それなのに、介の字貼りの唐沢君に貴公子みたいな風情で「貴様は・・・」とボー読みされてもなぁ。

うーんスベってる・・・

これにお金かけるなら、任侠ヘルパー、続編作って欲しいなぁ。
彦一シリーズでね。寅さんみたいに、施設を転々とするの。
シリーズ化したら長く続くよ。

不毛地帯、時代錯誤右寄り路線ドラマっていうイメージかな。

しっかし、このドラマの不人気を象徴するように、アクセス悪い・・・
もう見るの止めようかな・・・
シナリオセンターの先生は勉強の為に・・・って言ってるけど、なんか辛いわ・・・


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コメント 4

gyaro

いきなり見逃してしまった私です。。。
シナリオに対する熱が冷めてきた証拠かもしれません^^;
S1は出し続けますけどね♪
by gyaro (2009-11-09 03:48) 

kitazawa

gyaroさん、こんにちわーっ、コメント有難うございまっすぅ。脚本家の人は好きな橋部さんですし、役者さんも面白そうな人ばかりなのに、なんか<変なドラマ>って言うイメージです。^^;;
JINで中谷美紀さん、好演、熱演ですね。^^
重要な役で、しかも風格があって、女優冥利につきるような大役を悠々とこなしてらして、とても素晴らしい!と思いました。^^
by kitazawa (2009-11-09 12:56) 

@ミック

するどい分析ですね^^
シベリア抑留を自ら選んだ壱岐の人格と
商社マン壱岐の人格との間に違和感がでてきちゃいましたよね。
by @ミック (2009-11-09 13:21) 

kitazawa

ミックさん、こんばんわードラマレビュー難しいですね。「良くなって貰いたい」「こんな話を見たい」っていう願望書いても、結局悪口みたいになってしまいますから^^;;
>シベリア抑留
そうですね、多分、壱岐さんの人格設定、キャラ設定が全くないまま、企画だけが一人歩きしたような印象がありますね、このドラマは。
ドラマ制作も商売なら、ちょっと、商品のニーズのリサーチ能力に欠けた不毛なドラマになってしまいそうです。
もったいない・・・^^;;;
by kitazawa (2009-11-13 00:22) 

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