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公益通報者保護法 何が問題か。 [研究・解明]

『法律は欠陥だらけで、常に作り変え、創り続けて行く物です』
ある議員の秘書さんはこう仰った。
ならその法律によって運命が変わり、振り回される人が居たらそれは人が創った法律の被害者とも言える。

創られた法律によって人生を左右され、仕事場を奪われ、社会のコミュニケーションの場から閉め出される_
そんな事があって良い物だろうか?
法律とは社会を悪から守り、悪を排除し、打ち倒し、社会秩序を保ち、人々の生活を健全に導き、人道を尊ぶ。
そんな物であるべきでは_

弁護士とはその法律、六法全書を鉾と盾にして弁護人を守り、社会悪と闘う_

そんな私が持っていた法律、立法の精神と弁護士のクオリティに疑問を浮かばせる、弁護士も居る裁判長も居る。
そういう事が解って来ました。
公益を唱いながら公益心を発揮して上司に不正行為を通報したら、悪質な嫌がらせ(社命で原告本人を集団で無視)と報復と思われる配置転換(顕微鏡の資料を読む?)を受け、パワーハラスメントを受けた事に対して、その配置転換と業務評価の低評価を受けた事に寄る損害賠償と配置転換無効の訴訟を起こしたのが、オリンパス裁判です。


8月31日、日本初の公益通報被害者訴訟の判決が下りました。

原告は精密機器メーカー、オリンパス社の社員、濱田正晴さん。
訴えられた被告側はオリンパス社。

法廷は東京高等裁判所。

社員が働きながら社を訴える?驚く方も多いでしょうが、これも現法律では仕方の無い事なのです。
職場を退職しては、その職場の現状復帰で訴訟を起こす事は出来ないのです。

不当配置転換で訴訟を起こし、元の持ち場に戻りたければ、その社を退職しての訴訟は出来ないのです。
干されながら、意に添わない人事異動、報復的な人事異動を受けながら、粛々と裁判の進行を待たなければならない。働き盛りの人は非常い辛い、勿体ない現状が続く訳です。
現に私が知り合ったオリンパス裁判の原告さんはそんな状態で淡々と誰とも口をきく事の無い、なんの生産性もない仕事を延々とやらされ、1日が終わります。


8月31、東京高裁で下った判決は『原告の勝訴』
オリンパス社の、内部通報後の配置転換、業務成績の低評価による給与分の被害を認め、オリンパス社に配置転換無効と損害賠償を命じました。

司法の場で、『公益通報者を社で虐めるな!』と宣言されたのです。

日本には公益通報保護法というのがあります、
平成16年6月18日法律第百二十二号
最終改正平成19年12月5日法律第百二十八号

その法令の目的

第一条

この法律は、公益通報をした事を理由とする公益通報者の解雇の無効並びに公益通報に関し事業及び行政機関がとるべき措置を定める事により、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産、その他の利益の保護
にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資する事を目的とする。

とあります。

このうたい文句はとても素晴らしい!素晴らしい物なのですが、では実際に勇んで公益通報した者が、その内部告発先から不利益な扱いを受けた時、その不利益な措置に対しての法的な拘束力が全くない、何処にも無いのです。

つまり『社会の内部不正をなくすよう、<公益通報保護法>を作りました!皆さん、法令遵守しましょう、どんどん公益通報しましょうね!』とネオンピカピカさせながら、『おめー公益通報、内部通報、告発したな!』と企業側から報復措置を取られても、その事自体、何も罰則規定がないのです。

どこにも書いてない。
なんと片手落ちな!!!

これは内部通報、内部不正告発者を炙り出すためのトラップなのでは?
社会がより企業や経営者の利益に叶うように雇用者の告発をした者を誘いだしてさらし者にする為の、そういう法律なんじゃないの?と疑いを持ってしまっても仕方ないものなのです。

現にオリンパス裁判の原告さんは会社に設置された内部通報ヘルプラインと言う内部不正を受け付ける部署に不正告発したら、直後に配置転換され、業務評価を著しく落とされ(病欠以下だそうです)るという、社からの報復措置を取られてしまいました。

原告さんは営業部のチームリーダーで働き盛りでした。
企業機密を持つ取引先の人物の引き抜きが二度目に行われ、一度目の引き抜きの相手に、二度目の引き抜きをさせる、という革新的な企業不正でしたので、原告さんはこのままでは社のブランドイメージが汚れてしまう、取引先からも社の信用を失ってしまい、行き先、オリンパ社の不利益になる、という愛社精神、公益心の元に内部通報ヘルプラインにメールを送り、不正事実を告げたのでした。

が、そのメールは<手違いにより>その不正行為を指示していた上司に届き(!)社内に通報事実が知られる事態となりました。
針のムシロ、とはこの事ではないでしょうか。

その後三年間で四回の配置転換を受け、業務評価の査定を下げられ、出世の道も閉ざされました。
出世が出来ない、昇進出来ないという事は企業年金の金額にも差が出ます。

原告さんは愛社精神、公益心を発揮したばかりにとんでもない不利益を被ったのです。

『正直者がバカをみる。そんな事があっても良いものか。その現実から逃げる事は出来ませんでした。
1日も早く平和で普通の生活に戻りたい』

公益通報のエキスパートの弁護士さんに囲まれ、原告さんは勝訴の感想を述べました。

日本における公益心とは何か。
長い者には巻かれろ。
お上には逆らうな。
村社会には暗黙の了解がある。

本音と建前。

ではこの施行された『公益通報保護法』とは何なのか。何のためにあるのか。
誰に向けて、何の抑制措置で行われたものなのか。

雇用者の立場の保護ではなく、内部不正を告発されたら困る企業側の利益を守る為の物ではないのか。


この公益通報保護法があるかぎり、続々とこの原告さんのような『被害者』が出るでしょう。
まさに『公益通報保護法の被害者』達が生まれている訳です。

欠点だらけのこの法律は五年前に生まれました。
第二次小泉内閣時の施行です。
小泉改革の名の下に多くのそれまでの日本の美点、社会的な良点が失われたと思っています。
この公益通報保護法も、不正を告発する正義心に満ちた社会的に有能な人々を閑職においやり、会社側の力で人権を押さえつけるようなパワーハラスメントを行う事により社員に恐怖心を植え付け、<社畜化>させる事に成功しています。こんな事で自由な発想の人材の育成、社会の活性化が進むでしょうか?
少子化で社会を支える人材に乏しくなる一方の日本で、もうこんな村社会、親方日の丸的な企業利益優先の経済組織の強化は止めて欲しい思います。

オリンパス裁判は高裁で原告勝訴になりましたが、オリンパス社はその判決を不服として最高裁に上告しました。
高裁が認めた原告さんへの報復行為とパワハラを社の行為として正当性を申し立てたとしたら、世も末です。
会社とは、経営者とはここまで雇用者を踏みつけにし、対等な立場として会話する事を拒むのか。
暗澹たる気持ちでこのオリンパス社の上告のニュースを聞きました。

今もまさに、刻々と公益通報の被害者達は、この原告さんは人道的に、認める事のできない処遇に置かれ、一度しかない人生に大きな空洞を作らされている。
被害者達に家庭が家族があればその親族達も同じような苦痛、屈辱を受けるだろうと思われます。

今日もテレビ画面にはオリンパス社のCMが流れる。

それを見ながら、『天守閣を飾り続けながら、石垣を踏みつけ、壊し続けるような事は止めて欲しい!』と叫びたくなります。

果たして最高裁の判断は_
この国に公益心、公徳心の価値は二束三文で企業側のパワハラの餌食とされる物なのか。

法律が公益心の守り神であります様に、祈るばかりです。




これれは社会の不正を、多くの人に告発してもらい、社会浄化しよう、という名目の元に作られた物です。
一見、社会浄化、社内不正の防止、公益心の周知など












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伊澄津左次

公益通報者保護法が被害者を作り出す!まさに御指摘の通りです。

小生も昨年末に勤め先の違法行為(水質汚濁法違反)について、直接経営トップに是正するよう直言したところ黙殺状態が続いたため、行政(県)当局に公益通報を行いました。 

立ち入り検査の結果、私の指摘通りの「指導書」が出されたのですが、経営者側は表向きは「指導」に従うふりを装いながら、公益通報者である私を全く排除した形で、社内に公表することもなく「穏便な収集」に持ち込もうとしているため、私としては今後、会社を刑事告発する準備をしているところです。

経営者の手口が巧妙なのは、私に対し不利益取り扱いに類する行為は避けながら、弁明や反論も含め一貫した沈黙の姿勢を押し通そうとしていることです。

私自身は定年後の継続雇用で3年以上経過していたこともあり、4ケ月前
に自分の判断で退職しましたが、「公益通報者保護法」については、せめて「公益通報者支援法」という名称に変更してもっと実効性のあるものに改正する必要があると思っています。


by 伊澄津左次 (2011-10-14 16:18) 

kitazawa

コメント有り難うございます。大歓迎!です。
この法案について、また内部通報、内部告発に対しての社会、会社の認識の向上について、強く訴えて行きたいと思います。
取り敢えず地元の議員さんとお話しして、実情だけでも認識していただきたい、と思っています。
どんどん繋がりましょう!
by kitazawa (2011-11-01 09:50) 

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