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イワクラ_古代巨石文明の謎に迫る_日本の巨石信仰  ブックレビュー [研究・解明]

巨石信仰とは何か?
日本人は何故石に祈りを捧げ、信仰したのか。
おおきな石とは_日本人にとってどのような特別な存在だったのか。
アニミズムから石、滝、山、自然物への信仰が在った時代、どのような意識からそれらに神的な物を見いだしていたのか。

巨石は水質浄化装置である小石の母、神様である_

これは、日本人が古くから持っていた信仰心が環境への感謝の気持ちから始まったのではないか、
という推測で、日本のあちこちにある大きな石への信仰の遺跡を元に、“水”への感謝を忘れてしまった、現代日本人への警鐘を残している。

解り易く言えば、日本人が昔から保って来た大きな石への信仰心は、水を浄化し、わき水としてもたらしてくれる環境への感謝の気持ちなのではないか。

『蛇口』が、現れた時から、スイッチ一つで水が家庭にもたらされた時から、日本人は水と水を浄化する石への感謝=祈りの気持ちを失って行った。

蛇口やスイッチで水が出て来る事_
文明開化とはすなわち、自然環境への配慮、畏敬の念を持ち、祈りを捧げる原始的な信仰の心の喪失を日本人にもたらす物ではなかったのか、と書き出せばとてもシンプルな答えが見えて来る。

大きな石にしめ縄を結んで、供物や祈りを捧げる_
男女の形をした石に子孫繁栄の祈りを捧げる_

巨石は地下水の自然の恵みをいつも感じる為の石神。
祈りを捧げる対象であった。

水は環境破壊から産まれた汚水となって人類に戻って来る_

という警告もあり、漫然と汚水に対して無神経になっている自分はちょっと怖くなったり。

ここまで環境を破壊させた地球上の生物は居ませんから。
明治維新が、単なる文明開化だけではなく、商業主義、成果主義に盲進して、その為の欠点を(環境破壊)顧みる事に鈍感になっていた。
日本古来からの巨石信仰を捨てた時から、日本人は別の種族へと変身させられたように思えます
が・・・

私は明治維新、文明開化、廃仏毀釈がやがて、多くの文化的遺産、人材、国土の緑を失った戦争へと
続く軌道を作ったように思えます。

今一度、廃仏毀釈について、その是非について、考え直す事が、また水の浄化、環境維持への起点になるような気がします。

仏=石仏や石に祈りを捧げる気持ち それらを捨てた時、それらを見失った時、人々は新たな信仰先を見つけた。
お金である。
貨幣経済こそ、環境破壊、怪しげな新興宗教を生み出す源となった。

巨石信仰を考える時、水が全ての人間の欲求を満たす物ではなかったか。
石が水を浄化する事を知っていた時代、石に無心に水の恵みを祈っていた時代に思いを馳せる事が、
今の日本人には必要な事だと思わずにはいられない。

また古代の測量技術が正確に二等辺三角形で形成される山、『飯盛山』の存在についての考察が面白い。
日本のあちこちに点在する飯盛山とは、何だったのか。
飯盛と日守は同義語。
太陽信仰と山、飯=米への(豊作)の祈り_

それらの符号を読み明かすうちに、遥か日本がまだ神話すら存在しなかった古代の、人々の祈りの
祖系を見いだして行く事が出来る。

国産みの物語、国譲りの神話は測量技術で日本の地形が選定された逸話の変形なのでは、という視点や飯盛山が時の権力者達の子孫を見守る為の墳墓だったのでは_という推察が面白い。

巨石信仰は、明治維新で歪められた神道の皇祖神が、もっと庶民に身近で面白い物で、面白い形の石達に容易に変異する物だったのでは_と思う。

今日本人は祈りの対象を見失い、預貯金の残高に祈りを捧げる。
喪神の時代に、環境破壊が行われるのは、全くの道理だと気がつかされる。

この巨石文明に思いを馳せる事が、環境破壊への自戒になるとは、遺跡や神話は、実に多くの警告のメッセージを残すメール機能なのではないか、と感じるのです。

遺跡や巨石信仰を“感じる事”これからエコスタイルに入ると、日常にまたよりいっそう多くの含蓄を
受け取る事が出来るのではないかとこの書を読んで思いました。

磐座 イワクラ

http://ja.wikipedia.org/wiki/磐座

古代巨石文明の謎に迫る

イワクラ学会 編・著


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斗夢

巨石信仰と水のことを初めて知りました。
子供の頃、生家には井戸があり、生活用水はすべて井戸水でした。
年末には井戸にしめ縄を飾り新年を迎えました。「水神様」がいるのです。
いま、井戸は跡形もなく埋められ水道の便利な水を使っています。
by 斗夢 (2010-02-11 05:31) 

駅員3

なんと巨石信仰が水に結び付くなど考えてもみませんでした[ひらめき]
by 駅員3 (2010-02-11 09:27) 

manamana

古代の知恵が放っておくと、
どんどん失われていくような気がします。
地名などにも刻まれたメッセージが、
(ここは水が出るから住まないほうがいいとか)
合併などで忘れられていきます。
昔の人は、理科の勉強なんかしていないのに、
ちゃんと道理がわかっていたのですね。
by manamana (2010-02-11 10:00) 

kitazawa

斗夢さんこんばんわ.「水神様」しめ縄をして飾る。井戸を奉り、寿ぐ、新年を一緒に迎える_
井戸は生活している人々と生きていたのかもしれませんね。埋められて、ちょっと可哀想><

駅員3
巨石信仰と水_意外ですよね。
巨石信仰は世界あちこちにもありますが、海外のはもう少しオカルトチックな感じですね。
生活に密着した信仰は石、岩、水(龍神)等、
神話物語に繋がって、どこか日本人の奥底に生きているような気がまだします。遺跡や神話ってその国の宝ですね〜^^

manamanaさん、そうそう、地名。
走水とか竜ヶ崎とか、○○沢とか、水や龍に関係した物の地名は、水害の警告だという話ですよね。それが、古き良き地名がどんどん無くなって行く_便利さと、効率主義と。
警告を受け取れるアンテナを自ら外してしまっているのが現代人なんでしょうね。
必死にインターネットの情報を探す事に汲々としている。困った事ですけど、引き返せますかね?

by kitazawa (2010-02-11 20:31) 

にこちゃん

巨石信仰っていうんですね~
人間は奢りが高まると押さえが効かなくなる動物かも。
何か怖いものがあったり、自分の思うようにならないもの
そう常に感じてないと結局自然は破壊されるのかも・・・
宗教でも、信仰でも、幽霊でもUFOでも、
どれでも人間にとって脅威の念が持てるのなら、
それはきっと必要なんだと思うんですよね。

文明が進み過ぎると、やっぱり怖いです。
ちょっと戻ってみないとちゃんと我々が進んだ道が
軌道から離れていないか心配。。。。
by にこちゃん (2010-02-12 23:18) 

kitazawa

にこちゃん、コメント有り難うございます。
そうですね、暗闇への恐怖やいつも清浄な水が湧き出る事の感謝などの気持ち、無い現代人の方が、今豊かなのか、それは解らないですよね。
山に同じ名前がついていて、測量の目印になっていたとう、事など、失われて行く日本の謎は、そのまま日本人の美点なんじゃないかな、と思いました。柔らかい紙と木で暮らす古代日本人が石に願った、水と神秘(子孫繁栄や神が座る場所としての)の心、もう一度取り戻せると、もっと日本の進む方向が解るんじゃないかと思うのですが・・・^^難しい本でした。^^;
考古学環境論が今後活発になるんじゃないか、と思いました。そして、そうであって欲しいです。
by kitazawa (2010-03-06 10:55) 

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